2018年11月27日

501回 前50回でのベスト10

こんばんは。

  前回、500回記念ブログでは、つい京都旅行の話になってしまいましたが、毎回恒例の50回にて読んだ本のベスト10紹介をあぶなく忘れる所でした。

【ジャンル別 読んだ本紹介】

  今回は、50回のブログで、39冊の本をご紹介しましたが、我ながら節操のない選択だなあ、と呆れています。自分として興味のあるのは、社会学としては歴史と科学、芸術方面では文学、音楽、絵画、映画、さらにはスポーツ本となります。そこに小説が加わりますが、小説の場合にはやはり著者で選ぶ場合が多いようです。以下、ジャンル別の本を読んだ順にご紹介します。

  39冊の内訳を語れば、歴史にからむ本が「習金平と永楽帝」、「縄文の思想」、「古代の技術を知れば『日本書紀』の謎が解ける」、「周-理想化された古代王朝」、「人類5000年史T 紀元前の世界」、「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」と6冊を数えました。科学の本は、「脳の誕生-発生・発達・進化の謎を解く」、「第3のチンパンジー」、「絶滅の人類史」、「言ってはいけない宇宙論 物理学7大タブー」の4冊でした。ジャレド・ダイアモンド氏の「第3のチンパンジー」と更科功氏の「絶滅の人類史」は人類史を描いた本なのですが、著者が科学者であり、科学の本だと理解しています。

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(NHKEテレ ダイアモンド氏の講義 tvguide.or.jp) 

  続いて、芸術方面の本。文学本では、近著であるドイツ文学者池内紀氏の「戦う文豪とナチス・ドイツ トーマス・マンの亡命日記」と70年以上前に書かれたフランス文学者である渡邉一夫氏の「五つの証言」は、ヒューマニストであり、非政治的人間であったトーマス・マンを異なる観点から描いており、どちらも読みごたえのある作品でした。また、女優の山口果林さんが書いた「安部公房とわたし」は、我々が知らなかった安部公房の姿が描かれており、興味が尽きません。少し変わったところで、宮城谷昌光氏の「三国志読本」も著者の創作舞台裏をのぞくことができて、珠玉の1冊でした。

  今回、音楽本と絵画本は1冊ずつ。「交響曲『第九』の秘密-楽聖ベートーヴェンが歌詞に隠した真実」は、これから年末にかけてピッタリの第九本です。日本でなぜ第九が大人気なのか、真摯な解釈から第九の謎に迫る面白い本です。また、おなじみ原田マハさんの「いちまいの絵 生きているうちに見るべき名画」は、元キュレーターであるマハさんがこれまでのキャリアの中で、衝撃を受けた絵画をその体験も交えて紹介する、絵画ファンには垂涎の1冊です。

  映画本も2冊ご紹介。

  今年のアメリカの中間選挙は、アメリカファーストを唱えるトランプ政権を支える共和党の勝敗が毎日の報道を賑わせました。その中で、映画評論家の町山智浩氏がこの中間選挙のレポーターとして選挙結果に対して評論していたのには驚きました。確かに氏は20年以上アメリカ、カリフォルニア州のバークレーに住んでおり、アメリカの事情に通じているわけです。最初、なぜ彼が、と思いましたが、前回の大統領選挙の状況と今回の中間選挙の違いを現場感覚として事例付きで解説しており、とても興味深いレポートでした。やはりタレントです。

  その町山智浩氏の「トラウマ恋愛映画入門」。彼の映画城論が面白いのは、牽強付会と紙一重のところで自らの独自の評論を繰り広げるところです。すでに何冊も映画評論集を上梓していますが、それぞれに違う視点で牽強付会論を繰り広げており、面白い本に仕上がっています。

  今回の映画本で面白かったのは吉永小百合さんの「私が愛した映画たち」です。映画女優として長いキャリアをもつ小百合さんですが、国民的アイドルとして多くのサユリストに愛され続けてきた歴史を背負います。今回は、インタビュー形式でその想うところを大いに語っています。この本で何よりも心を動かされるのは、吉永小百合さんが映画と映画に関わる人たちに持ち続ける深い愛情です。長く生きていれば、様々な場面で憎まれ口の一つもききたくなる場面があるはずですが、彼女の言葉にはそのカケラも感じられません。本当に良い本を読むことができたと思います。

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(映画「キューポラのある街」ポスター)

  さて、スポーツ本に行く前にまだジャンル別で紹介できていない本があります。それは、インタビュー本と対談本です。こうした本は、複数の語り部が登場するので、ジャンル化することが難しくなります。今回3冊が登場しますが、それぞれです。元NHKデレクターの吉成真由美さんがインタビューを行った「人類の未来−AI、経済、民主主義」は、すでに3冊目を迎えますが、インタビューアーが取材する人物の著作や思想を十分に理解しているので、質問も適切ならば、答える方も深い答を語ってくれます。このシリーズは本当に読みごたえがあります。

  同じインタビュー本ですが、「世界の未来 ギャンブル化する民主主義、帝国化する資本主義」は、それに比べてわかりづらく、答えにはスリルもないので、全体としては散漫な印象が免れません。さすがにマイケル・トッド氏のインタビューはスリリングですが、それだけに全体のまとまりのなさが残念です。

  さて、さらにノンフィクション作品もあります。今回は、ノンフィクションの保守本流ともいえる本田靖春氏の「誘拐」を読みました。昭和の有名な誘拐事件である吉展ちゃん誘拐事件を描いていますが、その手法はまさに感動を呼びます。今となっては古典と言ってもよいのですが、その感動は色あせることはありません。もう1冊は、橘玲氏の「言ってはいけない中国の真実」。最新の中国を自らの体験を交えて鋭く描く、良作です。また、対談本では、インテリジェンスを語っておなじみの手嶋龍一さんと佐藤優さんの対談、「独裁の宴 世界の歪みを読み解く」も好調な語りで、次作が楽しみです。

【今年の収穫  スポーツ本】

  2020年の東京オリンピックまであと2年を切りました。東京での開催が決まってから日本のスポーツ界は活況を呈しています。レスリング、柔道、体操、水泳など、これまでメダルを輩出してきた種目ももちろんですが、今回、種目が復活した野球・ソフトボール、追加されたボルダリング、空手、スケートボードも話題沸騰です。

  さらに今年はサッカーのワールドカップがロシアで開催され、続いて来年は日本でラグビーのワールドカップが開催されるなど話題は尽きません。皆さんは、先日のラグビー日本代表のテストマッチをご覧になりましたか。ロシアは世界ランキングで日本(11)よりも格下(19位)ではありますが、体格では日本を上回っており、ワールドカップ初戦の対戦が決まっている強豪です。

  ランキング上位のイングランドとの戦いでは、前日本のヘッドコーチ、エディ・ジョーンズを相手に力負けすることなく、大いに善戦しました。日本代表の進化は、エディも認めていました。そして、臨んだロシア戦。BSでの中継を、期待を胸にみていたのですが、試合が始まってから日本はロシアの早い攻撃に押されて、スクラム期に反則を連発し、前半に逆転を許してしまいました。前半終了時点で、ペナルティゴールを5つも献上し、スコアは日本1027ロシア。

  翌日も仕事があり、後ろ髪を引かれながらも寝室に行き後半の開始を待たずに寝てしまいました。そして、翌朝。結果は日本3227ロシアの大逆転勝ち。まだ夢を見ているのではないかと、思わず頬をつねりました。ニュースで試合経過を見ると、後半戦の日本の粘りには目を見張ります。戦前にこの試合の重要さを語っていた主将のリーチ・マイケル選手。2727の後半30分。トライから抜け出したパスをつなぎ、最後にボールを手にしたマイケル選手は、迫りくる敵を見事にかわして逆転トライを決めたのです。なんとワンダーな結末なのでしょう。

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(マイケル・リーチ主将の勝越トライ sannkei.com)

  今年はとにかく日本代表の闘いが熱い。

  同じようにスポーツ本も熱いと嬉しいのですが、今年読んだ3冊はどれも面白さ抜群でした。特に6月に開催されたサッカーロシアワールドカップに挑んだ西野ジャパンの試合は見事でした。開催の1ヶ月前にハリルホジッチ監督を解任し、西野監督を選んだ日本サッカー協会でしたが、西野氏はみごとに日本代表をベスト16へと導いたのでした。バスト8をかけたベルギーとの戦いも最後の最後まで結果が見えない死闘でした。

  日本代表は世界に通用する力を持っているのではないか。そんな期待を抱かせる西野ジャパンの選手たちでしたが、冷静に考えれば、やはりベルギーは日本よりもはるかに強かったのです。日本は負けるべくして負けたのだ。そうした冷静な分析と判断がなければ、日本代表は世界と互角に戦うことができません。今回読んだ「サムライブルーの勝利と敗北 サッカーロシアW杯日本代表・全試合戦術完全解析」には、これからの日本代表の課題が示されています。

  一方、大好きな野球では松井秀喜氏がコーチを務める大リーグ選抜チームが来日し、日本代表の稲葉ジャパンと親善試合を行いました。親善試合とはいえ、日本代表にとっては51敗という完勝と言ってもいい内容であり、東京オリンピックに向けて幸先の良い内容となりました。今回は若手中心のメンバーでしたが、ソフトバンクの柳田選手が相変わらずのフルスイングで大活躍するなど、見ごたえのある試合が続きました。しかし、これだけ勝ちが続くと、日本代表の課題が打ち消されてしまい、逆に心配になります。まだまだ欠点のある日本代表と考えられます。これからのチームのレベルアップに期待しています。

  今回の野球本は、1998年に横浜ベイスターズの監督としてチームを38年ぶりの優勝に導き、日本代表の投手コーチも務めていた権藤博氏とスポーツジャーナリストの清宮清純氏の対談本がとにかく面白かった。「継投論 投手交代の極意」は、プロ野球における投手のあり方を投手心理と野球の戦略論からひも解いて語る、見事なマネジメント本です。野球は、先発、中継ぎ、抑えの分業制によってひとりでも多くの人間が勝利を分かち合うことによって、チームがますます強くなっていく。現代野球に求められる戦略はまさに権藤さんの言葉にあると言っても過言ではありません。

  もう1冊は、おなじみ野村勝也氏の名監督談義「私の選ぶ名監督10人 采配に学ぶリーダーの心得」です。御大も今年で83歳となりましたが、「生涯現役」をモットーとするだけのことはあり、サッチーさんを亡くしてもノムさん節はなお健在です。登場する名監督は、ちょっと古くなりますが、この本で日本のプロ野球の歴史を知っておけば、プロ野球ファンとして様々なことが語れること間違いなしです。

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(2018日米野球 柳田選手のホームラン auone.jp)

【やっぱり小説は面白い】

  さて、乱読読書の中で数が多いのはやっぱり小説です。今回は39冊のうち、11冊が小説でした。こちらの分野も我ながら節操がない選択でした。

  その中では、久しぶりに読んだ翻訳物のSF中編集、テッド・チャン氏の「あなたの人生の物語」はワンダーでした。この本は、映画「メッセージ(原題:Arrival)」の原作で、映画を見てぜひとも原作を読みたくなったことが購入のきっかけでした。動機はともかく、そこに収められた短編は、それぞれジャンルも異なり作風も違うものの、どれも卓越したアイデアにワンダーを感じながら読みました。やっぱり、SF小説のワンダーは格別です。

  作家として追いかけているのは、宮城谷昌光さんを筆頭に原田マハさん、真山仁さん、浅田次郎さん、黒木亮さんと続きますが、時々本屋さんの棚で「これは!」と思う小説に出会うことがあります。今回の中では、先日NHKでドラマ化された米澤穂信さんの「満願」はスリリングな短編集でした。三上延さんもそうですが、最近はライトノベル出身の実力派作家が素晴らしい作品を書くことがあたりまえになってきました。さらに感動した作品では、松岡圭祐さんの「八月十五日に吹く風」があります。題名を見れば、太平洋戦争の終戦に絡む話である事は想像が付きますが、まさかあの「万能鑑定士Q」の著者がこんなジャンルで感動に導く小説を書くとは、嬉しいワンダーでした。

  その他の作品では、久々に読んだ幸田真音さんの「ナナフシ」はこれまでの幸田作品とは一線を画した作品で、人生の不条理にさいなまれる人々が何をきっかけに再び挑戦する気持ちを持つようになるのか、を描いた佳作です。やっぱり幸田さんは金融ディーラーを描かせれば天下一品ですね。また、初めて読んだ安東能明さんでしたが、「ソウル行き最終便」。期待したインテリジェンス性は今一つでしたが、そこに仕組まれたサスペンスはジェットコースター級で、十分に楽しめる作品でした。

  さてさて、前振りがやたら長くなりましたが、この50回で読んだ本のベスト10は、以下の通りです。相変わらず独断と偏見で選んでいるわけですが、気が向いた方は一度手に取ってみてください。ワンダーを感じていただければ幸いです。

(題名をクリックすると、そのブログとリンクしています。)


BEST 3

第1位 「八月十五日に吹く風」

(松岡圭祐著 講談社文庫 2017年)

第2位 「サムライブルーの勝利と敗北 サッカーロシアW杯日本代表・全試合戦術完全解析」

  (五百蔵容著 正海社新書 2018年)

第3位 「暗幕のゲルニカ」

(原田マハ著 新潮文庫 2018年)


BAST410

第4位 「若い読者のための第三のチンパンジー」

(ジャレド・ダイアモンド著 秋山勝訳 草思社文庫 2017年)

第5位 「三国志読本」

(宮城谷昌光著 文春文庫 2017年)

第6位 「脳の誕生-発生・発達・進化の謎を解く」

(大隅典子著 ちくま新書 2017年)

第7位 「継投論 投手交代の極意」

(権藤博 二宮清純著 廣済堂新書 2017年)

第8位 「満願」(米澤穂信著 新潮文庫 2017年)

第9位 「私が愛した映画たち」

(吉永小百合 立花珠樹著 集英社新書 2018年)

第10位 「交響曲『第九』の秘密-楽聖ベートーヴェンが歌詞に隠した真実」

(マンフレッド・クラメス著 ワニブックスPLUS新書 2017年)


  本日も長いブログになってしまいましたが、お付き合い有難うございました。

  それでは皆さんお元気で、またお会いします。


📖今回も最後までお付き合いありがとうございます。
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posted by 人生楽しみ at 23:42| 東京 ☀| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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