2018年05月30日

「グレイテスト・ショーマン」は何故ヒットしたか

こんばんは。

  もうすぐ5月も終わり。今年のゴールデンウィークは、5月の1日と2日が休みになれば9日間という大型連休となりましたが、アッという間に終わりました。。皆さんは、どのようにお過ごしでしたでしょうか。

  例年、この期間はどこにいってもお値段は高く、さらに交通機関も満員、高速道路は大渋滞、さらには行楽地も人であふれかえっており、疲れに行くようなものとなります。両親や子供へのサービスが必要であればともかく、夫婦二人であれば、この期間ははずして楽しむ方が得策です。

  ということで、今年のゴールデンウィークも近場で美術館に行ったり、映画に行ったり、アウトレットで買い物したりと、まったりと過ごしました。

  映画と言えば、今年もアカデミー賞が映画界の話題の中心となりました。

  作品賞と監督賞は、言葉を話すことが出来ない女性と異形の生き物の交流を描いた「シャエイプス・オブ・ウォーター」が受賞。みごと監督賞を受賞したギレルモ・デル・トロ監督は、特撮映画やロボットアニメの大ファンで、尊敬する人物は、円谷英二と押井守だと言います。そうした意味では、この映画で異形の怪物を主人公にしたこともうなずけると思います。映画としては、ちょっと敷居が高いと感じるのは、私だけでしょうか。

  この映画と受賞を争ったのは、「スリー・ビルボード」。この映画は、アメリカのとある小さな村で娘を殺された母親が、犯人を捕まえられない警官に対して大きな広告看板にそれを非難する言葉を掲げて戦う、という内容の物語です。社会と人間を描いたオーソドックな映画ですが、この映画は、主演女優賞と助演男優賞を受賞しました。

  もう一つの目玉である主演男優賞は、「ウィンストン・チャーチル/ヒットラーから世界を救った男」で、ウィンストン・チャーチルを演じたゲイリー・ゴールドマンが受賞しました。彼は、ハリー・ポッターシリーズで、ハリーを守るシリウス・ブラック役を演じており、我々にはおなじみのイケメン俳優です。その徹底した役作りは有名で、今回もチャ−チルそのものになりきった演技が評価されての受賞でした。

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(映画「ウィンストン・チャーチル」ポスター)

  この作品では、ゲーリーをチャーチルにするために特殊メイキャップが使われました。そのみごとな特殊メイキャップを担当したのは、辻一弘さんでした。映画界では、彼のメイキャップ技術は、つとに有名で、トミー・リー・ジョーンズとウィル・スミスの主演で大ヒットした「メン・イン・ブラック」や「猿の惑星」のメイキャップにも携わっていました。主演のゲーリーは、辻さんに「あなたが受けなければ、私はこの作品には出ない。」とまで語ってくどいたそうです。彼は、この仕事でみごとにアカデミー賞のメイクアップ&ヘアメイク賞を受賞しています。

  日本人の受賞は嬉しいですね。

  ところで、今回のアカデミー賞でまったくと言っていいほど取り上げられなかったミュージカル映画があります。昨年のアカデミー賞では、ミュージカル映画「ラ・ラ・ランド」が大きな話題となり、ノミネート作品の中で、監督賞・主演女優賞をはじめとして6部門で受賞しました。同じミュージカルでもこれほどに取り扱いが異なる映画も不思議です。

  その映画は、今年の218日に公開されるや大ヒットを記録し、未だにロングランを続けています。もうすぐDVDが発売されるというのに、このロングランには驚きです。その映画とは、「グレイテスト・ショーマン」。

  ゴールデンウィークの最中、連れ合いとこの映画を見に行きました。楽曲も役者も脚本も素晴らしく、本当に面白く感動しました。

【ミュージカル映画の魅力】

  ミュージカル映画は、これまでブロードウェイで劇場版として演技されていたものが、映画として制作されるケースが多くあります。不朽の名作と言われる「ウェストサイド・ストーリー」、「サウンド・オブ・ミュージック」、「マイ・フェア・レディ」のいずれもブロードウェイにてミュージカルとしてヒットしたミュージカル劇を映画化したものでした。最近でも、「シカゴ」や「マンマ・ミーヤ」、「ドリーム・ガールズ」など数々のミュージカルが映画化されて、我々に感動を与えてくれました。

  今回ご紹介する「グレイテスト・ショウマン」は、昨年話題となった「ラ・ラ・ランド」と同じく、最初から映画として作成されたミュージカルです。

(映画情報)

・作品名:「グレイテスト・ショウマン」(2017年米・105分)

(原題:「The Greatest Showman」)

・スタッフ  監督:マイケル・グレイシー

       脚本:ジェニー・ビックス他

・キャスト  PT・バーナム:ヒュー・ジャックマン

      チャリティ・バーナム:ミシェル・ウィリアムス

      フィリップ・カーライル:ザック・エフロン

      ジェニー・リンド:レベッカ・ファーガソン

      アン・ウィーラー:ゼンデイア

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(映画「グレイテスト・ショーマン」ポスター)

  ミュージカルでは、観客が一緒に口ずさむことが出来るキャッチーな楽曲が不可欠です。この映画でも、「ラ・ラ・ランド」でも楽曲を担当したベンジ・バセック&ジャスティン・ポールが観客を魅了する音楽を聞かせてくれます。

  オープニングで心を躍らせる主題歌「ザ・グレイテスト・ショー」は、足踏みをリズム化した2拍子が衝撃的なパワーある楽曲。また、唯一アカデミー賞にノミネートされた「ディス・イズ・ミー」は、ストーリーの重要なターニングポイントで唄われるキャッチーな楽曲です。

  この映画では、興行師バーナムのパートナー、カーラエルとして登場するザック・エフロンが空中ブランコを演ずるアンと恋に落ちますが、二人の間には超えることのできない身分の差がありました。その叶わぬ恋が見事に歌われる「リライト・ザ・スターズ」も二人の恋心をみごとに表現した名曲です。

  ミュージカルでは、物語の展開と楽曲が不可分の一体となって進んでいくことで、音楽による感動と演じる人々の心情とが二重奏を奏でながら我々の心に迫ってくるのです。

  主演のヒュー・ジャックマンは、2000年にミュータントのSF映画「X−MEN」で腕から超合金の刃が飛び出す不死身の男、ウルヴァリン(ローガン)を演じて、日本でも一躍有名になりました。元々、舞台俳優であったヒュー・ジャックマンは、2004年にはブロードウェイミュージカル「ザ・ボーイ・フローム・オズ」で主役を演じ、みごとにトミー賞を受賞します。

  そして、2012年ミュージカル映画「レ・ミゼラブル」でジャン・バルジャン役を演じ、見事な歌唱でゴールデングローブ賞主演男優賞に輝きました。普通、ミュージカル映画は撮影時には歌を歌わずに、アフレコで歌を吹き込むのですが、「レ・ミゼラブル」では演じる俳優たちが歌を撮影現場で録音し、アフレコでは得られない臨場感を映画に吹き込むことに成功したのです。彼の歌唱力は本物だったのです。

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(「グレイテスト・ショーマン」サウンドトラック)

【ミュージカル映画の傑作】

  この映画を見に行こうと思ったきっかけは、ヒュー・ジャックマンをこよなく愛する娘が、この映画を見に行って、我々に「ぜひ見に行ってほしい映画」、「『ラ・ラ・ランド』もよかったけれど、こちらの方が感動した。」と絶賛したことでした。娘は、音響効果がより楽しめるIMAXで見ることを勧めてくれたのですが、残念ながらそれには間に合いませんでした。

  しかし、実際に見に行って、わが娘の言葉がその通りであることを実感しました。楽曲の良さと歌唱の素晴らしさ、そして、ミュージカルらしいテンポの良さ、わかり易いストーリー。どれをとっても楽しめる、面白く感動的なミュージカルでした。

  ところで、この映画を見に行ったのには、もう一つ理由がありました。

  それは、以前にもご紹介したTBSの「王様のブランチ」の映画コーナーの紹介です。それは、この映画の主題歌ともいえる「ディス・イズ・ミー」を謳うこの映画のワーク・ショップの光景でした。この歌を歌うのは、ゴスペル的な歌唱力を持つ大柄な女性キアラ・セトルですが、リハーサルのときヒュー・ジャックマンは体調が悪く、医者から唄うことを止められていました。しかし、キアラがこの歌を歌い始めるとそのあまりにも素晴らしい歌唱に、ヒュー・ジャックマンもその歌唱に涙を浮かべ、我慢できなくなり一緒に歌いだしてしまうのです。

  そこにいた出演者の全員が心から感動して、楽しそうに「ディス・イズ・ミー」を歌う姿を見て、きっとこの作品は素晴らしいできになるに違いないと感じられたのです。

  我々と同じ世代の方は、興行師バーナムの名前を聞いてアカデミー賞を受賞した1952年の映画「地上最大のショウ」を思い出す人がいるかもしれません。実際にバーナムは、山師的な興行師で、小さな人や大男、インディアンやひげ女、入れ墨男や空中ブランコを見世物にして人を集めることを目的にショウを主催したのです。

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(映画「地上最大のショウ」ポスター)

  バーナムは、あらゆる手段を駆使して広告宣伝に努め、映画の題名となった「地上最大のショウ」とのフレーズもバーナムが自らのサーカスを宣伝するために使ったキャッチフレーズだったのです。バーナムは、家族への愛情と万人の楽しみのために、常に前を向いて進む何事にも負けない信念の男として描かれており、どんな困難にも下を向くことなく立ち向かっていきます。

  そのバーナムを支えていく愛情あふれる家族とバーナムから生きる場所と情熱を教えられた異形の人々の心。素晴らしい音楽とテンポの良い脚本によって、この映画は躍動と感動を我々にもたらしてくれ、生きる勇気を教えてくれるのです。

  この映画を見て、今年のアカデミー賞でなぜこの映画が無視されたのかが不思議に思えました。

  この映画では、「ディス・イズ・ミー」に象徴されるように、異形の人たちが自らのアイデンティティーを認識し、バーナムを当時としては先駆的であった差別の心を持たない多様性を重んじる興行師のように描かれています。

  特に成功の果てに、契約のキャンセルや火災によってすべてを失ったバーナムが一人パブでやけ酒を飲んでいるシーンが印象的です。行き場を失った異形の人々は、焼け跡で途方に暮れています。打ち沈んだ面々から誰ともなく、この興業に出演するようになってから、日陰者からみずからの存在する場所が見つかったのはここだ、との意見が出てきます。

  その場所を再興しようと思い描いた彼らは、全員でバーナムが一人たそがれているパブに乗り込みます。そこで全員が繰り広げるパフォーマンスは、この映画のクライマックスとなります。

  このシーンはまさに感動的なのですが、冷静に考えるとこの映画の舞台となったのは、1850年代のアメリカです。ご存知の通り南北戦争の終結によって奴隷が解放されるのは1865年です。アメリカでの黒人差別は著しく、この映画のように異形の人々の人権を認めたとはとうてい考えられません。

  アメリカの人々にとって、差別や抑圧は何百年にもわたる負の遺産です。PT・バーナムは興行師としては偉大な功績を残しましたが、この映画が語るように家族愛に富み、人の多様性を重んじた人道的で、フラットな人物であったかは疑問です。

  この映画が生みだした感動とPT・バーナムの実像にはかなりのかい離があるのではないのか?もしかすると、そのあたりにこの映画がアカデミー賞から無視された理由があるのかもしれません。


  そのことは別にして、この映画は間違いなくミュージカル映画の傑作です。皆さんも、ぜひこの映画でカッコイイ、ヒュー・ジャックマンに感動してください。明日への元気が湧き出してくること間違いなしです。

  それでは皆さんお元気で、またお会いします。


📖今回も最後までお付き合いありがとうございます。
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posted by 人生楽しみ at 19:53| 東京 ☁| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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